(株)フィナンシャルエクセレンス
代表取締役    平田  啓 氏
掲載日     2010/04/28

コラム

投資における最大のコストは税金!

ネット証券の台頭などにより,金融商品取引の手数料に価格破壊が起きました。FXに至っては,「手数料0円」といったサービスも当たり前になっています。しかし,投資におけるコストには『入口でかかるコスト<主に取引手数料>』と『出口でかかるコスト<税金>』の2種類あり,実は『出口でかかるコスト<税金>』の方が圧倒的に大きいことを理解しておかなければなりません。下記にご紹介する例を元に,『入口コスト<手数料>』と『出口コスト<税金>』を比較したものが表1です。『入口コスト<手数料>』は『出口コスト<税金>』に比べると無視できるほど小さいことが分かるでしょう。これは極端な例ではないのです。FXを選択する場合,『入口コスト<手数料>』ではなく,『出口コスト<税金>』で選ばなければならないことも含めて,表1の元になっている例をご紹介したいと思います。

【表1】
  A社 B社
入口コスト<手数料> 0円 1,000円
出口コスト<税金> 150,000円 60,000円

今,100万円分のFX投資をしたとします。A社では手数料0円,B社では手数料1,000円だったとします。手数料という『入口でかかるコスト』だけで比較すると,誰もがA社を選択するでしょう。しかし,『出口でかかるコスト<税金>』に差があったらどうなるでしょうか?A社を利用してFX取引をした場合には税率50%,B社を利用してFX取引をした場合には税率20%だったとします。そして,FX投資の結果,30万円の利益を獲得したとしましょう。A社を利用した場合,税金は15万円(=30万円×50%)になります。一方,B社を利用した場合,税金は6万円(=30万円×20%)になります。『入口でかかるコスト<手数料>』の1,000円にこだわったために,『出口でかかるコスト<税金>』において,この例では9万円(=15万円−6万円)も多く税金を納めることになってしまったのです。結果,表1に示すように,A社を利用した場合,かかったコストの合計は15万円(=手数料0円+税金15万円),B社を利用した場合,かかったコストの合計は6万1,000円(=手数料1,000円+税金6万円)となり,B社を選ぶ方が有利であることが分かります。

ここで「FXによって税率が違うなんてことあるの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。実は,FXの場合,取引するFXの商品によって適用される税制が異なるのです。具体的に言いますと,FXには『店頭取引』と,『取引所取引』に分けられ,後者の取引所取引の場合に上記例のような税制のメリットが得られるのです。つまり,FXの商品を選ぶ場合,取引所取引を選ぶ方が,コスト面において有利になることが多いのです。この取引所取引のFXが,『大証FX』なのです。詳しくは後述しますが,ポイントは以下のようになります。

  • 投資をする場合,最大のコストは『税金』
  • 『入口でかかるコスト<手数料>』よりも『出口でかかるコスト<税金>』の方が圧倒的に大きい
  • 『出口でかかるコスト<税金>』では,一般に『取引所取引(大証FX)』が有利

取引所取引として馴染みのあるのは株式取引でしょう。個人投資家は証券会社に手数料を支払うことによって株式の売買注文を依頼し,証券会社は証券取引所に注文を流して売買します(市場集中制)。この場合,取引する証券会社によって徴収される手数料は異なるかもしれませんが,どの証券会社で取引しても,売買できる価格(株価)は同じです。一方,店頭取引の場合,取引所を介することはなく,FX会社と個人投資家が直接取引することになります。つまり,取引するFX会社によって手数料も,売買する価格も異なります。しかし,取引所取引と店頭取引の最大の違いは,コストである税金にあるのです。

では,ここからは税金についても知恵をつけておこうと思う方にお話ししていきたいと思います。実は,FXの場合,取引所取引には『分離課税』,店頭取引には『総合課税』が適応されます。分離課税は『所得(会社員なら給料)やその他の収入とは<分離>して,FX取引を行って獲得した利益には,所得税などとは異なる税金を課税する税制』であるのに対し,総合課税は『所得(会社員なら給料)やその他の収入と,FX取引を行って獲得した利益も<総合>した合計額に課税する税制』です。これだけでピンと来た方もいらっしゃると思います。日本は基本的に収入の多い人に多くの税金を支払ってもらう税制になっています。つまり,後者の手元に入ってくるいっさいがっさいの収入を合計した額に課税という総合課税の方が,一般に高い税率が適応されることになり,結果徴収される税金も多くなるのです。

【表2】
課税所得 取引所取引(分離課税) 店頭取引(総合課税)
195万円以下 20% 15%
195万円超〜330万円以下 20%
330万円超〜695万円以下 30%
695万円超〜900万円以下 33%
900万円超〜1800万円以下 43%
1800万円超 50%

より明確に理解するために表2を見てください。総合課税が適応されている店頭取引のFXを行った場合,収入を合計した額が1,800万円を超える方には50%という税率が課せられています。FX取引をして,30万円儲けたら15万円,50万円儲けたら25万円課税されるのです。しかし,分離課税が適応されている取引所取引のFXを行っていた場合,収入の合計額がいくらであろうとも,FX取引で得た利益に一律20%課税される仕組みになっています。同じFX取引をしても,30万円儲けたら6万円,50万円儲けたら10万円の税金で済みます。

さらに,取引所取引では『繰越控除』が認められていて,翌年以降3年間に渡り利益と相殺させることができるのです。例えば,1年目に30万円の損失,2年目にも30万円の損失,3年目に50万円の利益を獲得したとします。すると,3年の合計でまだ10万円(=−30万円−30万円+50万円)の損失を抱えているので,繰越控除を利用できる場合,利益を獲得した3年目にも課税されることはありません。(但し,繰越控除を利用するには,毎年確定申告しておく必要があります。)一方,この例で繰越控除の認められていない店頭取引の場合は,3年目の利益50万円にしっかり課税されます。課税所得が195万円以下の人ならば15%の7万5000円(=50万円×15%),課税所得が1,800万円を超える人ならば50%の25万円(=50万円×50%)を税金として納めなければならないのです。税制について理解を深めると,「FX取引をするなら,分離課税になっている取引所取引<大証FX>を選ばなければバカらしい!」というのもお分かり頂けるでしょう。

平田 啓(ひらた けい)

株式会社フィナンシャルエクセレンス 代表取締役
1993年(株)日短AP(現セントラル短資)に入社。95年オプション専門会社B.C.M.Gよりヘッドハントされ渡米。98年ボストン大学MBA(ファイナンス専攻)へ留学。2000年帰国後,現三菱東京UFJ銀行で通貨オプション・ディーラーを経て,ブルームバーグに移り金融市場分析機能開発兼セールスを担当。2005年株式会社フィナンシャルエクセレンス代表取締役就任,また関西大学大学院商学研究科「外国為替論」講師を兼務する傍ら,セミナー講師や執筆などで活動中。著作「FX誰も教えてくれなかった 外為ディーラーの儲け方」(実業乃日本社),「下落相場をチャンスに変える超・資産運用法」(技術評論社),DVD「日経225オプションの勝ち方 売り戦略」(パン・ローリング社)等。